黒潮の流路は、おおきく大蛇行流路と非大蛇行流路のふたつに分けることができます。大蛇行期には、紀伊半島の南端部の検潮所、串本と浦神において、それらの潮位差は値が小さく、変動も小さくなります。このため、大蛇行であるかどうかは、串本と浦神の潮位差の時系列により容易に判断できます。非大蛇行流路は、さらに黒潮の伊豆諸島の通過位置により接岸流路と離岸流路に細分でき、三宅島や八丈島の潮位により判断できます。黒潮がこれらの島の北を通過する場合、潮位は高く、南を通過する場合、潮位は低くなります。
トカラ海峡での黒潮流軸について、Kawabe (1995) は流軸位置を九州・南西諸島の潮位データから推定する KPI (Kuroshio Position Index) を提唱しました。Yamashiro and Kawabe (1996) にもとづき、トカラ海峡における黒潮流軸の緯度 Z を KPI から推定します。
Z = 1.8165 KPI + 28.389
KPI = (X + 83cm) / (Y + 100cm)
X = 中之島と西之表との潮位差
Y = 名瀬と西之表の潮位差